古民家再生 古き良き民家を次世代へ
日本の民家を現代に
民家は日本人が創造した「日本の住文化」の傑作です。
こうした民家が経済・社会構造あるいは生活様式の変化のなかで取りこわされ、失われつつあります。
一方、新しいものへの評価だけでなく、古くても本当に良いものを再評価する動きや、地域文化を見直す動きが強まってきています。また、地球環境 の問題として、限りある資源を有効に活用する資源循環型社会、すなわち使い捨ての時代から、リサイクル、エコの時代へと変化してきています。
こうしたなかで、日本の民家の良さを再認識し、再生を手がける人が、少しずつではありますが増えてきています。白川郷・五筒山の合掌造りの民家集落が世界遺産に登録されたことも、この民家の問題がきわめて今日的なテーマであることを示しているといえます。
このような考えのもと、当社は1997年頃から「古民家再生」に取り組んでおります。
近江商人の家
仕口継ぎ手の伝統構法に拘る
幕末の時代、ペリーがちょうど黒船にのって日本に初めてきたころに建てられた民家です。
調査、解体、運搬、洗浄、防蟻、切り込み上棟、完成まで約3年かけ、すべて竹小舞下地の土壁、しっくい仕上げにしました。
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STORY
築約150年、実家の近江の廃屋化の窮状を後の建築主の耳に入った。まずは現地見分という事になり話はトントン拍子に運んだ。そうなったのには三つの力が働いた。
- 実家の廃屋化の窮状を相手を選んで訴えた女性の選択力と説得力
- 選ばれた人の眼力と財力
- 150年の風雪を超えてなお人に訴える建築の訴求力
こだわったのはあくまで伝統構法である。仕口繋ぎ手はすべてそこに施されていた手法を踏襲した。
感動的だったのはそれら仕口繋ぎ手の構成が明るい天空に聳え立ったときである。それは上棟という儀式を超え、150年という時間を貫いたゆるぎなき真理が新たな時空へむけて飛躍しようとする姿のように見えた。
滋賀県近江八幡市⇒宮崎県都城市へ移築。
ずし2階(小屋良部屋)であったものを正式な木造2階建てへ。
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DATA
- 所在地
- 宮崎県都城市
- 設計
- 千人設計室
- 施工
- 千人
- 工事期間
- 2003年6月~2006年3月
- 規模構造
- 木造 2階建て
- 面積
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敷地面積:539.00㎡(163.0坪)
建築面積:176.92㎡(53.51坪)
延床面積:237.01㎡(71.69坪)
うち1階:170.97㎡(51.71坪)
2階:66.04㎡(19.97坪) - 用途地域
- 商業地域
- 主な外部仕上げ
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屋根:平木葺きの上粘土瓦葺き
壁:土壁、漆喰塗
建具:木製建具、アルミ建具 - 主な内部仕上げ
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天井:杉坂天井板張り
壁:土壁の上漆喰塗り床:ヒノキフローリングの上炭入れアマニ油仕上げ - 設備
- システムキッチン、ガス給湯、床暖房、エアコン